Corporate Social Responsibility

特集2

2006年のジェネリック医薬品原薬市場への参入から10年。この間、潰瘍治療薬、糖尿病治療薬、アレルギー治療薬、血液硬化剤などの原薬8品目を上市し、トクヤマの成長事業へと発展してきました。ジェネリック医薬品市場の拡大に伴い、さらなる高付加価値化と競合との差別化へ向け、さまざまな取組みを行っています。

開発・製造・営業・品質保証の一体化で医薬品原薬の新規分野開拓を加速

医薬品原薬市場に参入して10年間の成果

トクヤマの医薬品原薬製造は1985 年に鹿島工場での新薬の受託製造からスタートし、96年には血管造影剤の受託製造を開始しました。現在、主力となっているジェネリック原薬事業に進出したのは2003 年。増え続ける医療費の抑制のため、新薬からジェネリック医薬品の推奨へと国の政策が転換したことを受け、当社が得意とする有機合成技術を活かせる分野に新規参入しました。
2005 年の薬事法(現医薬品医療機器等法)の大改正により、製薬メーカーに原薬の品質管理が義務づけられ、信頼できる原薬メーカーが求められる中、2006 年には早くも第1 号となる緑内障治療薬を上市しました。以来、現在に至るまで循環器系治療薬や糖尿病治療薬を中心に、ほぼ1 年に1 品目ずつの上市を重ね、製薬メーカーから高い評価を獲得し、1 兆1,000 億円を上回る医薬品市場の6 割強を占めるジェネリック原薬市場におけるプレゼンスを高めています。

特集2

高度な開発力が求められるジェネリック原薬事業

ジェネリック原薬は先発薬の特許に従えば容易に製造できるものとの誤解も多いですが、特許には実際の製造プロセスの記載はなく、短期間でプロセスからすべて開発しなければならない“ 開発立脚型”の事業です。先発薬以上の品質を実現しながら、原料管理から製造、原薬の品質管理、薬事対応などを含めて一般の受託製造とは別次元の高いレベルが求められます。
トクヤマは2005 年から2015 年までの10 年間で100件以上の製法特許を出願しており、専業メーカーを圧倒しています。医薬品は国が定めた薬価があるため、高機能・高品質な原薬であっても販売価格に反映することが難しく、収益を生み出しにくい構造となっていますが、トクヤマはプロセス技術を強みにして、コスト競争力を高めています。

顧客密着型の事業展開で高まるニーズに対応

ジェネリック原薬事業の参入時から、営業と開発がお客さまを訪問し、対話を重ねる中で開発を進める、顧客起点の開発を行っています。また製造を見据え、プロセス開発の段階から品質保証担当が加わり、お客さまが求める高いレベルの品質保証を実現するなど、開発・製造・営業・品質保証の各部署が一体となり事業を展開しています。
ジェネリック原薬市場は海外メーカーや他の総合化学メーカーの参入、値下げ圧力の高まりなど、今後さらに競争が激しくなっていくことが予想されます。これに対応するためトクヤマでは、開発・製造・営業・品質保証それぞれのレベルと各部署の連携をさらに高め、化学メーカーとしての強みに磨きをかけていくことに努めています(図参照)。
たとえば、2014 年に上市した血圧降下剤カンデサルタンの開発では難溶解性の解決が課題としてあり、溶けやすく吸収されやすくするため、微粒子かつ安定性の高い原薬の開発が求めれられていました。そこで、研究開発部門に分析・解析の専門部署を有している強みを活かして先発薬中の原薬の粒子状態を分析・解析し、製造すべき粒子の目標値を設定、新たな結晶化技術と粉砕技術の開発に成功しました。こうしてカンデサルタンは溶けやすい経口剤として現在、多くの製薬メーカーに採用されています。

特集2

鹿島工場は他の工場へのコントロール機能を有する戦略拠点

ジェネリック原薬市場でもコモディティ化が進んでいます。上市時には品質面から国産品が優先されても、時が経つと安価な海外品に切り替わる傾向が強まっており、高い品質を維持しながら、コスト面からは海外サプライヤーとの連携を強化することで、コモディティ化に対応していくことが重要となります。
2016 年に増強された鹿島工場のマルチプラントは、生産品目の増加に対応するものですが、生産能力をアップするだけでなく、中国やインドなどでの海外生産を見据えた、コモディティ化に対応する戦略拠点としても活用していきます。モノづくりの拠点として鹿島工場で技術を磨き、その品質保証や製造プロセス技術などのノウハウを海外に移転することにより継続的な収益を生み出す体制が構築できます。鹿島工場が他の工場をコントロールする機能をもてば、国内外のサプライヤーとの協力体制により、競争力のあるビジネスモデルの採用が可能となります。
現在、2020 年の上市に向け、新たな原薬の開発を進めており、幅広い治療領域をカバーする原薬メーカーを目指しています。また、技術的な波及効果が期待できる分野として、医薬関連材料も検討するなど、新規テーマの探索にも積極的に取り組んでいます。トクヤマは、これからも医療分野において、独自の技術と総合力を活かした製品の提供を通じて人々の健康で快適な生活に貢献していきます。

開発力とお客さま対応力を強みに、さらなる成長を

株式会社トクヤマ 岩崎 史哲

執行役員 研究開発部門長
兼 つくば研究所長 
兼 MAグループリーダー

岩崎 史哲

私たちの強みは、開発・製造・営業・品質保証が一体となって事業を展開していること。その一例に、品質保証グループが実施するGMP 教育があります。鹿島工場の製造・技術・品質管理チームが参加して、毎月1 回、医薬品の製造や法改正などを学んでいます。交替勤務の関係で毎月2、3 回ずつ開催しており、それを十数年続けています。
このような継続した努力によって培ってきた、当社の開発、品質保証に対する信用と信頼を活かして、中国やインドなど海外での生産を進めていく取り組みを始めました。お客さまも「どこで生産してもいい」「Made by Tokuyama なら受け入れる」とおっしゃっていますので、そのためにも品質・コスト両面で競争力ある製造プロセスの開発を今後も追い求め、それを推進力として、医薬品市場全体へアプローチしていきたいと考えています。


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