総務人事部門長のメッセージ

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トクヤマが求める人財とは—果敢な挑戦力

 新しく入ってくる皆さんには、このトクヤマという会社に新しい風を吹き込んでくれることを期待しています。その意味では、明るく陽気で前向きな人がいいですね。そして自由な精神を持ち、主体的に自由な発想のできる人。とくに「果敢な挑戦力」を持っている人を求めています。
 当社は今、2018年の創立100周年に向けて、売上高5000億円を目指す「創立100周年ビジョン」というテーマを掲げています。直近の当社の売上高は年間3000億円前後。それを6割も引き上げるという大きな目標です。そのためには、国内市場だけでなく海外市場の開拓が欠かせません。現在、当社では約1,800億円を投じてマレーシアに大規模なポリシリコン生産拠点の建設を進めており、これを軸に海外市場をさらに切り開いていく計画です。会社も従業員も未来に向け挑戦しています。したがって自ら進んで海外に打って出ようという気概のある人に、ぜひ来ていただきたいと思っています。
 この「果敢な挑戦力」が必要なのは、なにも海外だけの話ではありません。入社してある程度仕事にも慣れてくると、人はそこに安住し、「日々を大過なく過ごせればいい」という発想になりやすいものです。しかし実はこの「大過なく」が会社にとっても個人にとっても一番、危ないのです。私たちが相手にしているマーケットは日々刻々変化しています。その中で戦う私たち自身も、日々努力して新しい挑戦をしていかなければいけない。さもなくば現状維持さえできないのが今のビジネス社会です。ドラッカーは「未来にかかわるビジョンのうち、必ず失敗するものは、確実なもの、リスクのないもの、失敗しようもないものを選択することである」と言っています。つまり大過なく過ごすこと、挑戦しないことこそがリスク=大過なのです。
 一つ付け加えると、挑戦を続けるには、失敗してもくじけずに再び立ち上がる精神的なタフさも必要です。その意味では、「明るく、果敢な挑戦力を持ち、精神的にタフな人」。これこそが当社が最も望む人財像であるといえます。


若いうちから責任を任せる人財育成

 いかに組織を立派に整えても、それを動かすのは人。人こそ財産であるという考えから、当社では人材のことを「人財」と表記しています。そこからもわかるように、トクヤマは社員の成長をサポートすることにも力を入れています。
 まず社員教育システムとして、新入社員研修や3年目研修、主任・課長昇進前後の研修など、節目ごとの集合研修を行っています。これらは、自分の到達点を知り、今後の目標やテーマを確認する気づきの場、成長のきっかけを見いだす場といえます。また社員の成長の糧となる役割・役職別研修、MANJIRO制度(公募制グローバル人財育成研修)、経営幹部育成研修などいろいろな仕掛けを作っています。
 しかし実は、本当の学びの場は、仕事の実践の中にこそあると私は思っています。当社では、比較的若いうちから権限を委譲して、責任を持って仕事をしてもらっています。他社では主任クラスがやることを当社では担当者が、課長クラスがやることを主任クラスがやっているということが多々あります。年齢も経験も関係なく、高いレベルで戦うわけですからきつい部分もあるでしょう。しかし平坦な道よりでこぼこ道、土俵の真ん中よりも土俵際で踏ん張った経験のほうが、自らの糧となり実力はつくものです。
 また当社は、社内の風通しがよく、若い社員でも上に対して肩肘張らずにものが言えるような非常にオープンな社風があります。若い人がアイデアを出して何かをしたいという場合、もちろんその可能性や効果については上司がチェックしますが、「若造のくせに生意気だ」というような文化は全くありません。ですから失敗を恐れず、どんどんアイデアを出して挑戦をしていってほしい。それが会社を活性化し、また本人の成長にもつながるのですから。


面接では人間力の片鱗を見せてほしい

 採用面接をしますと成績の優秀な方が多く集まります。学生の本分は学業ですから、いい成績を取ることは大切です。そのことに敬意を表します。ただ、実際に仕事をする上で学校の成績が意味を持つのは、せいぜい4分の1程度でしょう。むしろ会社の中で伸びるために必要なのは、学校の成績よりも、最初に述べた明るさや挑戦心、精神的なタフさ。ひと言でいえば人間力です。
 もちろん人間力というのは、社会に出て5年10年、何度もぎりぎりの経験を乗り越えてこそ磨かれるものですが、大学や大学院を卒業する年齢には、その片鱗程度は現れてくる。したがって面接では、その片鱗を見せていただきたいと思っています。
 たとえば、学生時代にレストランのアルバイトを続けて、気がついたら接客長を任されていた、という人。これは社会で自立できるだけのタフさがあるという証明になります。しかもどんな仕事であれチーフや長になれば、そこで発生する問題を乗り越えていかなければなりません。その継続が会社の経営です。
 また、この1年に180冊の本を読みあさり、国家を考え、歴史を考え、人間を考えました、といったことでもかまいません。他人からは無意味に見えても、何かに真剣に取り組んだ経験や挫折を乗り越えた経験というものは、必ずその人の将来の成長に役立つものです。そんな経験をお持ちの方は、面接でぜひ聞かせてください。


小説を通じて人生の真実を知る

 逆に学生の皆さんに私からおすすめしたいのは、小説を読むことです。ジャンルとしては、大衆小説がいい。その中で特に時代小説、歴史小説、企業小説、経済小説、現代小説を薦めます。そこには一筋縄ではいかない人間社会の矛盾、人間関係の葛藤が描かれているからです。
 実社会に出ると、自分は一所懸命やっているのにうまくいかない、理解されない、誰も助けてくれない、邪魔をされた、裏切られた、といった理不尽な経験をすることがままあります。小説を読むことは、そうした人間関係の複雑さ、組織の複雑さを学ぶ良いトレーニングとなるでしょう。そして良い小説は、苦しいときに自分を助けてくれます。とくに実験・研究に明け暮れて、猛勉強の中で日々をすごす理系の学生さんは、視野を広げるためにぜひ読んでみてください。
 かくいう私自身も、かつて仕事上の問題で苦境に立たされ、人生の無常を感じたことがありました。そのときに助けてくれたのが、池波正太郎の鬼平犯科帳シリーズ。じっくり1年かけて全巻読了し、再び前向きに歩き始められたという経験があります。
 長い会社員人生にはきっといろいろなことがあるはずです。表通りもあれば裏通りもある。しかし表通りの高級レストランよりも、裏通りの薄汚れた小さな店の方がおいしい、ということも少なくありません。吹きだまりのようなところにきらっと光るものがあるのが真実。大切なのは知と情。ときには小説を読んで、涙を流す感性を養ってほしいと思います。

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