仕事を知る

研究開発部門 開発センター 永島 徹

新素材・技術を開発し、新規事業を創出する仕事

開発センターは新たな素材、技術を研究・開発し、新規事業を創出することを目的とした研究開発部門です。私は「窒化アルミニウム(以下、AlN)単結晶の成長」をテーマに研究・開発を行っています。このテーマは東京農工大学と共同で研究を行っており、3年間私は同大学に出向し研究活動を行っていました。大学で先進的な研究をする機会が与えられ、充実した時間を過ごしました。現在はつくば研究所に戻り、実用化に向けた開発を行っています。「AlN単結晶」は、すでに製品化されている「AlN焼結体(多結晶)」に比べ、結晶方位が揃っており(原子が規則正しく配列している)、窒化ガリウム系紫外LED (発光ダイオード)の基板としての用途が見込まれています。多結晶AlNと異なり、単結晶AlNの成長(生産)は難しいところがあり、とてもチャレンジングなテーマです。
赤や緑、青色の光源として可視光LEDは、白熱電球や蛍光灯などと比べ寿命が長く、小型で消費電力が少ないなどの特徴があるため、最近では交通信号機や大型のディスプレイに多く使われています。一方、樹脂の硬化や水の殺菌に用いられている紫外線の光源は、いまだ水銀ランプが主流です。水銀ランプは有害な水銀を含むこと、消費電力が大きいことにより、代替光源として紫外LEDが期待されています。私の研究している単結晶AlN基板に関する研究は、この次世代の紫外LEDの特性を格段にアップさせることができると考えられており、社会的にも関心の高い分野です。この紫外LEDが完成すれば、現在使用されている蛍光灯サイズの水銀ランプを、チップサイズに縮小することが可能になり、たとえば電池で作動するポータブルな水殺菌(浄水)器を作ることができ、世界中どこでも安全な水が飲めるようになるかもしれません。

手掛けたものがさまざまな場所で活躍する喜び

研究開発の基本的な作業は仮説・検証です。仮説を立て実験で検証し、結果を考察、そこからまた新たな仮説を立てます。これを繰り返しながら少しずつ研究を進めていくので、一朝一夕で大きな成果を得ることは難しいと言えます。しかし、製品化に向け研究を一歩ずつ前進させていく過程には充実感があります。私たち研究者にとって最大の喜びは、自分の担当しているテーマが製品化に結びついたときでしょう。私が手掛けたものがさまざまな場所で活躍し、人々の役に立っている場面を想像すると、いつも前向きな気持ちで研究対象と向き合うことができます。とくに世界中で開発競争が行われている紫外LEDの分野で、最先端の研究に携わることができ、研究者冥利に尽きるといえます。
研究開発はただやみくもに仮説・検証を繰り返すのではなく、知識と経験を元に狙いを定めながら実験を進めていきます。仕事の質を高めるためには、文献を調べ勉強することはもちろん、同僚や社外の専門家との意見・情報交換を積極的に行い、新たな知識と経験を得ることが必要です。
ただ、どんな情報もそのまま鵜呑みしないようにいつも気をつけています。文献で答えが出ているものや、一度成功した実験でも自分なりに一度再考します。違った角度から検証することで新たな発見をすることや、失敗を事前に防げることもあるからです。何ごとにも常に問題意識をもって臨む姿勢が、研究開発を行っていくうえでは大切だと感じます。

入社動機

研究室の先輩から話を聞き、良さそうな会社だなと思ったことがきっかけ。自分にとって馴染みのある無機化学を中心に、総合化学メーカーで幅広く製品を手がけていることが入社の決め手となりました。

トクヤマの好きなところ/嫌いなところ

研究環境は非常に恵まれています。たとえば、見通しが立っていない研究テーマでも、ある程度個人の裁量に任せてくれるなど、研究者にとって理想的な職場であると思います。自由に仕事をさせてもらっていますので、不満はほとんどありませんが、開発期間の短縮化が求められる現在において、マネジメント面での管理が弱い、という課題がありますね。

学生へのメッセージ

研究開発の仕事はロジカルな考え方を求められます。しかし、同時に研究に打ち込み続けるためには、社会に貢献するんだ、といったあくなき情熱も必要です。どんな仕事も情熱があればモチベーションを高く保つことができ、仕事も楽しめます。社会に出ると、自分のやりたいことだけに没頭できることは少なく、苦労やつらいこともあります。だからこそ、そのような瞬間を乗り越えられるだけの情熱を持って、仕事に取り組むことが大切なのではないでしょうか。

プライベート

大学時代はオーケストラサークルに所属し、今でもOB会でビオラの演奏を続けています。卒業後、人前で演奏する機会は減りましたが、今も忙しい合間を縫って練習に励んでいます。しかし、最近では子供と遊んでいるうちに終わってしまうことがほとんどです(笑)。

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