トクヤマ人を描く

05

流れのコントロールには
立体的な視野が欠かせない。

化成品第一製造部 瀬田 武敏

化成品第一製造部瀬田 武敏

顧客満足が利益の源泉

製造所が奏でるものをシンフォニーとするなら、さしずめ大ベテランの指揮者である。電解工程という川の源泉から始まり、その川が長い旅をして海に出て行くまでの道のりをコントロールする。微妙なバランスにより絶妙の構造物を産み出していくのが化成品だが、そのまさに根幹といえる「バランス」に携わる。「流れの平面的な把握だけでは不足なのです」。工程の底流にある消費動向つまり日本経済の動きや世界情勢への立体的な目配りも欠かすことができない。コントロール技術を高めつづけ、つねにアンテナを敏感にし、工程という川の流れを見つめる日常である。この仕事の場合、まずはじめの「顧客」は各工程(川の流れる先)の現場ということになる。いまこの時点で最も求められるものは何か、の最良の判断こそが結果として「利益」につながるのだ。
重責を担う大ベテランは飄々とした人柄だ。「見てると仕事が楽しそうね」と妻が言う。「うん、まあな」と答える。