社会とともに

人権の尊重

トクヤマグループは、「人権尊重」をあらゆる事業活動の基本に据え、企業としての人権尊重責任を果たすため、「トクヤマグループサステナビリティ基本原則」および「トクヤマグループ行動憲章」のもと、「トクヤマグループ人権方針」(以下「人権方針」といいます。)を制定し、トクヤマグループの全役職員にて遵守してまいります。

人権方針制定までの流れ

人権方針は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする人権に関する国内外の規範に基づき、社内関係部署および役員、社外有識者の意見を踏まえながら作成しました。
当方針は、サステナビリティ委員会での審議およびCSR推進会議での承認を経て、最終的に取締役会の決議でもって制定されました。
併せて、制定日の2022年12月1日には、社長による人権尊重のトップメッセージをグループ全体に向け発信しました。

*人権方針作成に際し取り入れた国内外の規範・ガイドライン等

  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
  • 「国際人権章典」
  • 国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」
  • 「OECD多国籍企業行動指針」
  • 経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」
  • 法務省人権擁護局「今企業に求められるビジネスと人権への対応」

マネジメント体制

サステナビリティの推進体制の中で、既存の専門員会のスコープには収まらない「気候変動対応」や「ビジネスと人権」といったサステナブルな課題に対応する専門委員会として、2022年度より「サステナビリティ委員会」を立ち上げ、人権に対する組織横断的な活動を行っています。
人権に関する重要事項はサステナビリティ委員会で審議され、CSR推進会議にて承認を受けるとともに、取締役会に報告されています。

人権尊重の取り組み

当社グループでは、事業活動の中で人権への負の影響を与え得ることを認識し、それらの影響に適切に対処するあるいは予防するために、人権方針を軸とした、各種人権尊重への取り組みを行っています。

強制労働・児童労働の禁止

当社グループでは、いかなる強制労働・児童労働も禁止しています。児童労働防止のため、採用時には年齢確認を徹底しています。また、強制労働防止のため、パスポートなど従業員の移動の自由を制限しかねない重要書類の会社による保管は行いません。

責任ある鉱物の調達

CSR調達ガイドラインにおいて、責任ある鉱物調達を謳っています。紛争地域および高リスク地域における紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物に関する調査依頼に対して迅速かつ適切に対応し、該当の鉱物に関与していないことを取引先に確認しています。もし、取引先への確認の結果、問題があると判断された場合は、改善要請や調達停止などの適切な措置を講じます。

労働安全衛生

事業を行う各国・地域の労働安全に関する法と規制を遵守し、業務上の事故や災害を防止するとともに、健康で安全に働ける職場環境を整備しています。(詳細は保安防災・労働安全衛生を参照ください。)
また、役職員のワークライフバランスを目指して、勤務管理システムによる日々の労働時間や年休取得日数などのタイムリーな把握、一斉計画年休などの年休取得推進を図るとともに、育児休暇・休業や介護休暇・休業といったライフステージに合わせた各種制度を整備しています。

良好な労使関係

当社グループは、結社の自由および団体交渉権を含む労働に関する基本的な権利を尊重するとともに、定期的な労使間の対話を通じて良好な労使関係を維持しています。

ハラスメント対応

当社グループでは、いかなる場合においても、個人の尊厳を傷つける行為として、ハラスメントを許しません。人権尊重の取り組みのひとつとして、2021年より「ハラスメント防止プログラム」を始動しました。当プログラムでは、社員一人ひとりにとって働きがいと相互に信頼関係のある職場づくりを目指し、毎年12月の「ハラスメント防止強化月間」などのさまざまな施策を実施しています。

〔2022年度実績〕

  • 精神科医によるダイバーシティ推進セミナー
  • トクヤマグループ内の各社長によるハラスメント撲滅のトップコミットメント発信
  • eラーニングの実施
  • 社内報を使った定期的なハラスメント相談窓口、ヘルプライン窓口の周知
  • ハラスメント防止啓発ポスターの各職場掲示
  • ハラスメントに関する意識調査

人権デュー・ディリジェンスの実施

当社グループでは、サステナビリティ委員会のもと、人権に関わりのある複数部署に渡るメンバーから構成されるタスクフォースを立ち上げ、組織横断的な人権デュー・ディリジェンスを行っています。
2022年度は、人権侵害が起こりやすいとされる「サプライチェーンにおける人権リスク」に対応するため、タスクフォースの活動の中で、下記事項を実施しました。

〔2022年度実績〕

  • CSR調達ガイドラインの改正
  • セルフアセスメントシートの精緻化
  • 取引金額3千万以上のサプライヤーに対し、CSR調達ガイドライン遵守の誓約書を依頼
  • 取引金額1億円以上のサプライヤーに対し、セルフアセスメントの実施
  • セルフアセスメント回答結果から人権リスクの高いと思われるサプライヤーの特定

2023年度は、引き続き人権リスクの高いサプライヤーへのエンゲージメントを実施するとともに、対象領域をバリューチェーンに拡大し、全ての事業活動における人権リスク・課題の洗い出し、リスクマッピングの作成、優先的に取り組むべき人権課題の特定および着手を行います。

教育・啓発活動

階層別研修での教育や、グループ会社キャラバン、社内CSR説明会での説明、人権に関するeラーニングの実施、社内報を用いた周知活動など全役職員が人権についての正しい理解と認識を持つよう、適切な教育・啓発を行っています。

人権尊重に関わるKPI

CSR経営を進めるために特定したマテリアリティ(CSR重要課題)のひとつとして「多様性と働きがいの重視」を設定し、当マテリアリティの中で目指す姿として「人権の尊重」を掲げ、ダイバーシティ&インクルージョン、ワークライフバランスの推進、ハラスメント防止といった各種施策に取り組んでいます。

救済・苦情処理メカニズム

当社グループに関わる人権侵害を含むコンプライアンス違反事項(違反の可能性があると思われる事項を含む)について、不利益な取り扱いを受けることなく安心して通報・相談ができるよう内部通報窓口「ヘルプライン」を設置しています。また、グループ内の従業員を対象として、ハラスメントに関する相談先として「人事ハラスメント相談窓口」を設置しています。これら2つの窓口の他、グループ会社が個社として設置している窓口もあります。グループ内の全従業員がいずれかの窓口にリーチできるカバレッジは約9割ですが、グループ全体としてさらなる救済・苦情処理体制を構築し、その実効性向上に取り組んでいます。

下記の表は横スクロール可能です

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
通報・相談件数 36 29 24 34 29

※ヘルプライン・ハラスメント相談窓口・国内個社の窓口の合計件数

そのうち、ハラスメントに関する案件のみ抽出したものが下表となります。前述のハラスメント防止プログラム開始に伴う徹底した周知活動により、2021年度以降相談件数が増加しました。

下記の表は横スクロール可能です

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
通報・相談件数 5 6 6 19 21

※2018、19年度は㈱トクヤマのみの件数

情報開示

人権に関する取り組みについて、役職員に対しては、社内報や社内掲示板・ポータルサイトにて周知するとともに、重要事項については取締役会に報告しています。また、社外のステークホルダーに対しては、統合報告書やトクヤマウェブサイトなどを通じて定期的に情報開示していきます。

人権に関するイニシアティブへの参加

当社は、2019年9月18日に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、その4分野10原則を支持し尊重するとともに、GCNJ(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)の活動に参加しています。

ステークホルダーとのコミュニケーション

トクヤマは持続可能な未来を「社会」とともに築くため、多様なステークホルダーとのコミュニケーション活動を大切にしています。

地域社会への貢献

トクヤマは地域から必要とされる企業として、地域コミュニティと共生を図るため、さまざまな活動を行っています。会社はもちろん、従業員も自ら進んで地域の皆さまと交流を深めています。
2022年度はコロナ禍により活動が制限される中、下記活動を実施しました。

主な地域社会貢献活動


なお、徳山科学技術振興財団 からは次世代を担う科学技術の振興を目的として下記の助成を行いました。

トクヤマグループの社会貢献活動方針