CSR
従業員とともに
トクヤマの人材戦略
トクヤマは「経営戦略の実現に寄与しつつ、従業員の価値向上を実現する人材戦略」というメッセージを掲げ、経営戦略の実現や当社の企業価値向上につながるストーリーを具体的に示し、働き方のニーズに応じた多様で生産性が高い人的資本を形成することを目指しています。
経営環境の変化に対応していくため、人事ポリシーの理念に基づき、2024年4月に新たな人材戦略を策定しました。当社の経営戦略を達成するためには、事業ポートフォリオ転換を可能にする高いパフォーマンスを発揮できる人材を採用・育成するとともに、一方で成長事業を支える基盤事業の労働生産性を向上させ、確実にキャッシュを生み出す必要があります。また、変化し続ける経営環境や進化するグループ経営に対応するために多才なタレントが活躍できる多様性を重んじる制度・風土を形成し、グループ全体を見渡した人的資本経営の実現を図る事も人材戦略がターゲットとする重要な分野となります。これらの課題を解決するために、人材戦略において8つの戦略軸を定め、この戦略軸に沿って各施策を遂行していきます。なお、人事ポリシーや人材戦略の策定は、全執行役員が出席する経営会議において検討を行い、取締役会において決議されています。またその運用についても、定期的に取締役会に報告し、監督を受けています。
これからは、経営環境の変化に応じて企業の人材に関する考え方も変化することが求められています。さまざまな変化に対応するために、従業員としっかりと対話をすることでエンゲージメントを高め、従業員一人一人が戦略の内容を体現する行動を取り、成長することを通して企業価値の向上を図ります。
人事ポリシー
トクヤマグループ人事ポリシー
2023年 6月 改訂
2019年 5月 制定
トクヤマグループは、人材を、消費される「経営資源」ではなく、持続的成長に不可欠な最重要の「経営資本」と捉えています。「トクヤマのビジョン」を実現する人材に期待するあるべき姿や成長の方向性を示すとともに、個々の活躍に向けて最大限の支援を行うことを「トクヤマグループ人事ポリシー」に定めます。
会社は従業員のことを
- 未来の可能性を期待して採用し、教育という投資と経験により成長し、より高い価値(リターン)を生み出していく存在と考えます。
- 期待される役割と成果を追求し、チームプレーを大切にする、仕事を楽しむ存在と考えます。
- 仕事における活躍の機会と自分自身の成長、そしてトクヤマグループの成長に、モチベーションを感じる存在と考えます。
- 自律的行動により自分自身をマネジメントできる存在と考えます。
会社は従業員の成長について
- 平等に与えられたチャンスの下で、従業員一人一人が自らの働き方の多様性に応じたキャリア形成を行う事で、社会と会社への貢献を求めます。
- 目標に向けて経営資源を効率的に活用するマネジメント能力を求めるとともに、周囲を巻き込んで新たな価値を創るリーダーシップを求めます。
- 顧客に何を提供するべきかを考える「What To Do」の実行を求めます。さらに部下を指導する者には、「なぜそれをするのか」、「何を目指すのか」を自分の言葉でメンバーに語ることができる「Why」の追求を求めます。
会社は従業員に対して
- 会社の期待に応えて成長し、挑戦する人材、挑戦する組織となるための人材育成の仕組みを提供します。
- 成長し続ける人材が、長く安心して活躍し続けられる仕組みを提供します。
- 自分の役割、生み出した成果、トクヤマグループの従業員として相応しい行動を公正に評価し、適正に処遇します。
トクヤマ教育体系
従業員の人材育成については、OJTとOFF-JTとのバランスを取りながら推進します。
OJTでは、仕事を通じてそれぞれの職場に必要な業務スキル、マインド、コンピテンシーなどのレベルアップを行い、年度の業務遂行をチェックする目標設定面接や、中期育成を主眼とした職制面接を定期的に実施し、OJTのPDCAサイクルを支えています。
OFF-JTでは、役割資格等級制度をベースにおいた階層別研修に加え、風土改革、法令順守を目的とした「コンプライアンス教育」、技術伝承、保安管理、業務変革を目的とした「専門教育」があります。
また、各自の自己啓発を促すため、公的資格取得や通信教育等の費用補助による支援をおこなっています。
さらには、事業ポートフォリオ転換を推進するため、次世代リーダー育成やグローバル人材育成など、経営層や職場のニーズに応える教育に取り組んでいます。
研修例
・次世代リーダー育成(NBL研修)
将来会社の発展を担う「経営人材」を早期に育成することを目的として実施しています。経営人材に求められる要件を「会社と事業の仕組みを細部まで理解し、高い志と深い見識をもって、会社と事業の未来を描きビジネスモデルをつくり、決断し実行する胆力と人望がある」こととし、対象者はそのために必要なスキルを多様な研修と実践を通して習得していきます。
・グローバル人材の育成
トクヤマは事業ポートフォリオ転換を推進し、価値創造型企業となって世界市場を目指しています。グローバル人材を育成するために、入社~海外赴任まで語学や異文化を理解する教育を行っています。自己学習や研修としてのプログラム(PG)を組み合わせ、従業員が意欲的にチャレンジする仕組みです。
中でも選抜型の「グローバル人材育成研修」は、グローバル人材像を「・赴任先の現地ビジネス環境や顧客文化を受け入れ、社会や経済発展に貢献できる人材、・最先端市場へ挑戦するマインドを持っている人材」と定義しています。そのために必要なスキル強化を目的とした研修を実施しています。
人事制度
従業員の働きがいを高めるため、メリハリのついた評価制度のもとで公正な処遇を受けるという、基本に忠実な運用を徹底させるとともに、トクヤマのビジョンの浸透による組織風土の変革を目指して、トクヤマでは2020年度より「役割資格等級制度」を導入しています。この制度は、「役割」「職務行動」など日々の行動を評価し、従業員の挑戦を促すものとなっています。また、営業・製造・研究開発など多様な職種、働き方に対応するため、複線型等級制度を導入しています。本人の成果と行動次第で早期の昇進・昇格が可能となり、将来の経営幹部やスペシャリストを目指すCコースと、専門分野や事業のエキスパートとして事業基盤を支えるAコースを設定し、個人の希望により選択・変更ができるよう設計しています。この制度では、トクヤマの4つの価値観(顧客満足が利益の源泉、目線はより広くより高く、前任を超える人材たれ、誠実・根気・遊び心そして勇気)に対する行動の評価が人事評価項目に追加され、トクヤマビジョンの達成を人事制度面から後押しするものです。2021年度は、従業員のスキルアップや将来的なキャリア形成に必要となる能力開発のガイドラインとなるよう、職種・部署ごとに目指す人材像と必要なスキルを整理して社内に公開しました。
ダイバーシティの推進
トクヤマのダイバーシティ推進活動は、社員が生き生きと活躍できる状態を目指し、「知(知識や知恵)の多様性」を重視し、職場風土改革を通じて、生産性向上を志向しながら、働きやすさと働きがいを追求しています。女性の活躍については、女性活躍推進法行動計画を策定し、女性管理職比率などの目標値の達成に努めています。更に、2024年には連結子会社を含めた女性活躍推進を加速させるため、2030年度までに女性管理職比率を15%以上とする自主的な目標を掲げました。多様な人材が活躍できる組織風土変革にむけ、新入社員教育においては、多様性の重要性を学ぶセミナーを実施しています。障がい者の雇用については、法定雇用率の達成を目指し、バリアフリー化など職場環境の整備を図っています。加えて、障がい者雇用施設「ゆうゆうてらす」を開設したり、障がい者の自立支援と地域社会への貢献に向けた農業法人株式会社トクヤマゆうゆうファームを設立したりするなど、新しい取り組みも始めています。
ワークライフバランス支援
トクヤマでは、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方を実現するため、フレックスタイム勤務適用者はコアタイムなくフレキシブルに勤務パターンを選択できます。一方で、勤務実態を管理できるようPCログ記録表示を行うなど、労働時間の適正化にも取り組んでいます。
仕事と育児の両立支援制度では、短時間勤務は産前10週から子どもが就学前まで(法定:3歳)、フレックスタイムの弾力運用は妊娠判明時から子どもが小学6年生まで利用することができます。2019年4月からは育児休暇(有給)の取得できる期間を子どもの出生から1年以内までに延長しました。社内報でのPR活動や、対象となる社員とその上司への利用案内により、休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んでいます。育児休業は子どもが満2歳に達するまで(法定:1歳 *)取得することができます。様々な取り組みを実施してきたことにより、当社は優良な子育てサポート企業として、2022年7月19日付で厚生労働大臣より「プラチナくるみん認定」を受けました。
男性社員の育児休暇や休業の取得も定着しつつあり、毎年100名を超える社員が育児休暇や育児休業を取得しています。
介護休業については、要介護者1名につき最大2年間(法定:通算93日)休業することができます。介護休暇(無給)は、要介護者の人数にかかわらず、週2日(法定:年間5日間)の介護休暇の取得が可能です。育児・介護休業者に対する支援として、育児休業 取得者向けの閲覧掲示板などを通じて社内情報を共有し、円滑な職場復帰を支援しています。また育児・介護によりやむなく退職した社員の復職を受け入れる退職者復職登録制度も整えています。
* 一定の場合は最長2歳に達するまで取得することができます。
ワークライフバランス支援制度
下記の表は横スクロール可能です
項 目 | 制 度 | 内 容 |
---|---|---|
フレックスタイム制 | フレックスタイム勤務適用者はフレキシブルに勤務パターンを選択できる(コアタイムなし) | |
出産/育児 | フレックス適用 | 小学6年生までの子を養育する者のうち、フレックスタイム勤務を適用されていない者が申請をした場合、フレックスタイム勤務適用職場へ異動の上、フレックスタイム勤務を適用する |
フレックスの弾力運用 | 妊娠判明時から小学6年生までの子を養育している場合に、月度の所定労働時間に満たない短時間勤務および勤務の中断と再開を認める断続的労働が可能 | |
検診休暇 | 妊娠した女性従業員が、保健指導または健康診断を受けるために取得した休暇のうち、妊娠から23週までは月1日、24週から産前休暇までは月2日を有給とする。 | |
産前・産後休暇 | 産前6週間(多胎妊娠の場合14週)、産後8週間まで休暇(有給)を取得できる(法定では無給) | |
育児時間 | 生後1歳未満の乳児を育てる女性従業員が1日2回、それぞれ30分を育児時間として利用できる(有給) | |
短時間勤務 | 産前10週から就学前の子を養育している場合にマイナス1時間から2時間の短時間勤務を認める | |
育児休暇 | 子の出生から1年以内に8日の休暇(有給)を取得できる | |
育児休業 | 生後2歳未満の子の養育のために休業できる | |
出生時育児休業 (産後パパ育休) |
子の出生から8週間以内に、最長4週間の育休をとれる制度(2回の分割可) | |
積立年休* |
・小学6年生までの子を養育する者が、インフルエンザ等感染症及び自然災害による連続5日以上の学校閉鎖・学級閉鎖等により休業が必要な場合 ・妊娠中または出産後の従業員が医師等により休業の指導を受けた場合、及び不妊・不育治療により休業が必要な場合 |
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時間外労働・深夜業の制限 | 就学前の子を養育する者の申請により時間外労働・深夜業を制限する | |
所定外労働の免除 | 生後3歳未満の子を養育する者の申請により所定外労働を免除する | |
退職者復職登録制度 | 妊娠・出産、育児を理由にやむなく退職した者は退職時に本制度への登録ができる | |
育児休業取得時における支援金の支給 | 全対象期間を育児休業した者について、「各人ごとの賞与基準賃金×0.5」の支援金が支給されるなお、育児休業から復職することなく無給の産前および産後休暇を取得する場合も上記に準じて取り扱われる | |
定期健康診断 | 産前・産後休暇、育児休業期間終了後に定期健康診断を受診する(有給) | |
看護休暇 | 小学6年生までの子を養育する者を対象に、子の負傷、疾病の看護、予防接種や健康診断のために年間5日(時間単位取得も可)/人を限度に休暇(無給)を取得できる。 また、小学校就学前の子を養育する交替勤務者は子の人数によらず年間3日(時間単位取得不可)の休暇(有給)を取得できる。 |
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介護 | フレックス適用 | 要介護者を有する者のうち、フレックスタイム勤務を適用されていない者が申請をした場合、フレックスタイム勤務適用職場へ異動の上、フレックスタイム勤務を適用する |
フレックスの弾力運用 | 要介護者を有するフレックスタイム勤務者が申請した場合、月度の所定労働時間に満たない短時間勤務および勤務の中断と再開を認める断続的労働が可能 | |
介護休業 | 要介護者1名につき最大2年間休業できる | |
介護休暇 | 要介護者を有する者が要介護者の人数に関わらず、介護休暇の申し出をしたときに週2日(時間単位取得も可)取得できる(無給)(ただし週2日取得した場合、1日は有給の積立年休から利用できる) | |
積立年休* | 家族(配偶者・子女等)の介護で連続5日以上休業する場合に使用可 | |
退職者復職登録制度 | 要介護者の介護を理由にやむなく退職した者は退職時に本制度への登録ができる | |
介護休業取得時における支援金の支給 | 全対象期間を介護休業した者について、「各人ごとの賞与基準賃金×1.0」の支援金が支給される | |
所定外労働・時間外労働・深夜業の制限 | 要介護者を有する者を対象に所定外労働・時間外労働を制限する(深夜業の制限については要介護者を有し、介護可能な16歳以上の同居者がいない者) | |
ボランティア | 積立年休* | 大規模災害の救援活動のために休業する場合に使用可 |
在宅勤務 |
在宅勤務A:
本人が希望し会社が認めた場合は、原則週2回まで在宅勤務を利用できる
在宅勤務B:
介護及び育児等を事由とし、在宅勤務A、短時間勤務制度およびフレックスタイムの弾力運用を利用しても解決できない問題がある場合は、週4回まで在宅勤務を利用できる
臨時在宅勤務:
災害または感染症等の予防の観点から上記の範囲を超えて在宅勤務を行う必要がある場合に、総務人事部門長の判断により実施する
在宅勤務手当:
出勤日数区分「出勤週2日以下」の従業員に対し月額2,500円の在宅勤務手当を支給している
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* 有効期限を過ぎて打ち切られた年次有給休暇のうち一定日数を積み立てることができる制度。
※ 検診休暇、産前・産後休暇、育児時間は女性のみが利用できる制度。