サステナビリティ
トクヤマの健康経営®
トクヤマの健康経営®
トクヤマは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目的として、健康経営に取り組んでいます。この考えに基づき2020年10月1日に「健康経営宣言」を表明しました。
-健康経営宣言- |
トクヤマは、従業員とその家族の心と体の健康づくりと働きやすい職場づくりを目的として健康経営に取り組みます。 |
株式会社 トクヤマ 代表取締役社長執行役員 横田浩 |
基本方針
- 従業員とその家族の心身の健康を第一と考え、一次予防(病気や不調の発生を防ぐ)に積極的に努めます。
中でも、健康障害への影響が非常に大きい喫煙問題に優先的に取り組みます。 - トクヤマ健康保険組合と協働し、従業員とその家族の心と体の健康づくりを積極的にサポートしていきます。
- 従業員自身の健康に対する意識向上を図るための教育や、健康保持・増進に向けた指導など、会社として積極的に関与していきます。
- 様々な取り組みの結果を検証するとともに改善を続けます。
従業員に対する健康経営の浸透
当社は、健康経営の正確な意味やトクヤマ健康経営宣言の基本方針の理解度について2020年から毎年従業員アンケートを実施しております。
トクヤマ健康経営宣言を表明した当初は、健康経営の認知度が低く特に若年層への浸透が課題でしたが、健康イベント実施やトクヤマ健康保険組合と協働して健康経営施策を充実させた結果、健康経営という言葉の理解度が上昇し、会社が健康支援を実施していると実感している従業員割合も年々増えてまいりました。この割合を増やすことが将来的な健康経営に対する満足度につながると考え重視しています。
他にも、当社の従業員だけでなく、取引先である協力会社に対しても健康経営の推進を図るため、2021年から毎年セミナーや健康イベント等を開催しています。
また、「健康経営で解決したい経営上の課題」「期待する効果」「具体的な取り組み」これら3つのつながりを一連の流れとして把握できるよう、戦略マップにまとめました。
健康経営組織体制
健康経営統括責任者である代表取締役社長執行役員のもと、毎年開催される健康経営推進委員会で承認された健康管理基本計画を基に健康管理センターが中心となって実施しています。
健康管理センターには、事務職のほかに徳山製造所と東京本部に産業保健スタッフが計4名在籍しております。
常務執行役員総務人事部門長を委員長、トクヤマ労働組合執行委員長とトクヤマ健康保険組合事務長がそれぞれ委員を務める健康経営推進委員会は年1回開催され、専属産業医の助言を受けて健康経営方針について計画・目標を制定しています。
また、計画に従って推進組織によって推進された施策の実施内容と検証結果の報告を受けて総括を行い、その結果を委員長に答申しています。
健康経営の取り組みについて
トクヤマは従業員の心と体の健康づくりと生活習慣病対策の推進という2つの方針の下、個人の健康意識の向上、有所見率の維持・低減および休業率の低減を目標に掲げ、スマートライフ・プログラムの推進、健康指導・生活習慣病対策、メンタルヘルス・ケアを重点項目としてさまざまな活動を実施しています。
下記の表は横スクロール可能です
項目 | 単位 | 2020 年度 | 2021 年度 | 2022 年度 | 2023 年度 | 2024 年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | |
検診有所見率*1 | % | 45.3 | 46.2 | 40.4 | 38.3 | 37.9 | |
検診有所見者の再検査・精密検査受診率 | % | 69.0 | 81.0 | 89.2 | 87.4 | 92.4 | |
ハイリスク者の治療継続率*2 | % | 100 | 100 | 100 | 100 | 100.0 | |
特定保健指導実施率*3 | % | 84.3 | 85.0 | 84.5 | 93.0 | 95.8 | |
特定保健指導対象者*3 | 人 | 210 | 251 | 226 | 243 | 238 | |
適正体重維持者率*4 | % | 72.6 | 70.9 | 69.7 | 69.0 | 65.8 | |
運動習慣者比率 | % | 30.5 | 29.0 | 29.2 | 28.3 | 29.2 | |
喫煙率 | % | 20.3 | 18.9 | 17.6 | 17.8 | 17.4 | |
ストレスチェック受験率 | % | 96.9 | 98.1 | 97.5 | 97.7 | 97.1 | |
うち、高ストレス者率 | % | 7.6 | 8.1 | 8.3 | 8.4 | 8.4 | |
プレゼンティーイズム*3*5 | 結果 | % | - | 9.3 | 6.7 | 7.5 | 4.0 |
回答者数 | 人 | - | 2,365 | 2,424 | 2,562 | 2,679 | |
回答率 | % | - | 85.2 | 84.6 | 85.9 | 88.1 | |
ワークエンゲイジメント*3*6 | 結果 | % | - | 3.0 | 2.9 | 2.9 | 2.9 |
回答者数 | 人 | - | 2,365 | 2,424 | 2,562 | 2,679 | |
回答率 | % | - | 85.2 | 84.6 | 85.9 | 88.1 | |
休業率*7*8 (アブセンティーイズム) |
結果 | % | 0.64 | 0.66 | 0.75 | 0.69 | 0.84 |
うち、メンタル不調 | % | 0.35 | 0.41 | 0.51 | 0.41 | 0.50 | |
期中月毎平均従業員数 | 人 | 2,147 | 2,313 | 2,352 | 2,477 | 2,558 | |
従業員の心身の健康のための取り組みに関わる投資額*9 | 円/人 | 25,000 | 28,000 | 25,000 | 39,000 | 42,000 | |
ファミリー健康相談 年間件数*10 | 件 | 101 | 79 | 73 | 52 | 52 | |
メンタルヘルス研修 | 実施回数 | 回 | 8 | eラーニング | eラーニング | eラーニング | eラーニング |
参加人数 | 人 | 733 | 2,161 | 2,311 | 2,412 | 2,495 | |
女性の健康課題に関する教育機会への参加率 | % | - | 2.9 | 19.4 | 23.2 | 36.2 | |
*1 2022年度より判定基準を一部項目で見直した *2 ハイリスク者の定義:血圧・資質・血糖が当社が設定した危険数値に該当しており、産業医がハイリスク者として選定した者 *3 出向者を含む *4 BMIが18.5以上25未満の者 *5 QQ methodを用いて従業員アンケートで測定 *6 ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(UWES)3項目を用いて従業員アンケートで測定 *7 出向者を除いた全従業員を対象として、4日以上連続して休業した日数を集約し算出 *8 年度ではなく暦年 *9 従来の金額に加え、2023年度よりトクヤマ健康保険組合の1人当たりの保健事業費を合算 *10 法研ファミリー健康相談は2024/9(46件)に終了し、2024/10~(6件)は保険同人フロンティアみんなの家庭の医学に変更 |
■ 健康課題改善の定量的な取り組み目標・成果指標
当社は、2025年度までに従業員の喫煙率を20%未満、2030年度までに10%未満にするという目標を定めておりましたが、2020年度の喫煙率が20.3%となり、2025年度の目標達成に近い状況となったため目標を見直しました。2025年度までに従業員の喫煙率を15%未満、 2030年度までに10%未満を目標に目指してまいります。
■ スマートライフ・プログラムの推進
従業員の健康を保持・増進することを目的とした「スマートライフ・プログラム」として、2018年度から喫煙対策に継続して取り組んでいます。受動喫煙を防止するため協力会事業所等を含めた敷地内屋内禁煙化(本部・支店のビル内共有喫煙所を除く)、毎月22日の「スワンスワンデー(就業時間内禁煙日)」の推進、さらに、2023年10月より1日の喫煙所の使用時間を午前と午後の各1時間と休憩時間(45分~1時間)とする「喫煙タイム」の導入など喫煙環境の整備を実施してきました。
また喫煙率低減にむけて産業医・産業保健スタッフによる健康教育等での啓発や毎年実施の全社員対象のeラーニング受講、トクヤマ禁煙キャンペーン4コース①本気編(ニコチンパッチによる禁煙外来治療)②お試し編(ニコチンガム無料提供)③ラクラク編(禁煙本無料進呈)④チャレンジ編(禁煙サポーターと禁煙)を展開し禁煙支援を実施しています。これらの施策により喫煙対策への関心が高まり、2024年度の喫煙率は17.4%と前年から0.4ポイント減少しました。従業員の男女比を考慮しますと、当社の喫煙率は決して高いわけではありませんが、依然として喫煙を継続している方の禁煙意欲が低い傾向にあることから、従来の施策にはないアプローチの検討が今後の課題です。
喫煙率・喫煙者の推移はこちらです。
■ 健康指導・生活習慣病対策の推進
トクヤマ健康保険組合と協働で特定保健指導を実施し、2024年の健康診断では前年度の保健指導対象者の39%に改善が見られました。健診結果返却面談や再検査未受診者への上司からの受診勧奨に加え、生活習慣病などの疾病の高リスク者に対する個別面談と継続支援を実施しています。また、年間を通じて産業保健スタッフによる出張健康教育(職場ミニ健康教室)などに取り組んでいます。
■ トクヤマ健康マイレージ
生活習慣の改善とその定着のための施策の軸として、「トクヤマ健康マイレージ」を2023年度から実施しています。これは、従業員自らが健康目標を設定し、毎月振り返りを行う個人参加型の施策です。喫煙、体重、運動、歯、食事、飲酒、睡眠など10のカテゴリーからなる14の生活習慣目標の中から各自選択し、取り組みます。毎月振り返ることで行動変容につなげ、一定の基準を達成した従業員に達成度合に応じたインセンティブを付与しています。
初年度の「マイレージ2023」で参加者446人にアンケートした結果、参加者満足度は9割以上、期間中毎月振り返りを行った人は68.4%でした。91.3%が生活習慣や運動に対する意識の変化があった、40.3%が健康状態に変化があったと回答しています。
参加者が獲得したインセンティブのポイント総額は1,552千円でした。
また、参加者が選択した目標ごとに参加前後の生活習慣の変化をトクヤマ本体従業員と比較したところ、すべての目標で良化している人の割合が高く、特に「週2日以上30分の運動」は顕著でした。一方で、「BMI18.5〜24.9」は参加前後で大きな変化はみられませんでした。生活習慣の改善、意識の変化が体重の適正化につながるのには時間がかかるものと受け止めています。
「マイレージ2024」では、参加者が生活習慣の改善にとどまらず健診結果の数値についても考えてもらえるよう、健診結果の血圧などの数値についてもインセンティブの範囲とするよう施策を見直し、改善につなげています。
トクヤマ健康マイレージ2024の概要と同2023の分析結果はこちらです。
■ メンタルヘルス・ケアの推進
心の健康については、全従業員を対象としたストレスチェックの実施・分析や高ストレス者への声かけ・面談と、さらには外部を含む相談窓口の充実などにより、集団分析結果を活用した職場環境改善およびメンタル不調者の早期発見と対応を行っています。このほか2023年度は昨年に引き続き、eラーニングによるメンタルヘルス研修を実施し、対象者の97.8%が参加するなど、ストレスの低減とセルフケア教育に取り組んでいます。
■ 健康経営の効果について
近年の取り組みの結果、行動習慣や社員意識、生産性などさまざまな面で成果が現れています。特に、健康経営の言葉の理解度と健康診断の有所見者の再検査・精密検査受診率の高まり、喫煙率の減少やトクヤマ健康マイレージの参加者数の増加から社員の健康に対する意識が従来より変化・向上している様子がうかがえます。
「プレゼンティーイズム」とは出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態を示す指標です。2024年は、前年より3.5ポイント良化しました。
仕事に影響が出る症状として腰痛と肩こりを挙げた従業員が多かったことを受け、体を動かすメニューを職場健康ミニ教室に追加しました。前年度から大きく良化していることから、プレゼンティーイズムの改善要因は他にもあるのではないかと考えられます。
具体的にどの施策がプレゼンティーイズム減少に寄与しているのか、分析と検証を重ね、次年度以降の施策に反映してまいります。
■ 補助を行っている検診項目(2024年度実績)
下記の表は横スクロール可能です
実施母体 | 項目名称 | 個人/集団 | 対象者 | 受診方法 | 費用補助 | 受診制限 |
---|---|---|---|---|---|---|
トクヤマ | 胃がん健診 | 集団 | 50歳以上の被保険者 | 集団健診 | 全額費用補助 | 1回/年 |
大腸検診 | 集団 | 40歳以上の被保険者 | 集団健診 | 全額費用補助 | 1回/年 | |
禁煙外来 | 個人 | 被保険者 | 社内診療所 | 全額費用補助 | 1回/年 | |
トクヤマ健康保険組合 | 配偶者健診 | 集団、個人 | 20歳~39歳の被扶養配偶者 | 集団健診、各自で医療機関を受診 | 集団は最大2,000円でオプション含めて受診可能、個別受診は最大13,000円の補助金制度あり | 1回/年 |
家族健診 | 集団、個人 | 40歳以上の被扶養者 40歳以上の任意継続加入者 |
集団健診、各自で医療機関を受診 | 集団は最大4,000円でオプション含めて受診可能、個別受診は最大35,000円の補助金制度あり | 1回/年 | |
婦人科検診 (子宮頸がん・乳がん) |
集団、個人 | 女性従業員 ・子宮頸がん20歳以上 ・乳がん40歳以上 |
集団健診、各自で医療機関を受診 | 集団は全額費用補助、個別においては、子宮頸がんは5,500円、乳がんは7,150円をそれぞれ上限に費用補助 | 1回/年 | |
歯科検診 | 集団、個人 | 被保険者 | 集団健診、各自で医療機関を受診 | 集団は全額費用補助、個別は3,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
脳ドック | 個人 | 35歳以上の加入者 | 各自で医療機関を受診 | 20,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
肺ドック | 個人 | 35歳以上の被保険者 | 各自で医療機関を受診 | 20,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
胃ドック | 個人 | 35歳以上の被保険者 | 各自で医療機関を受診 | 20,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
人間ドック | 個人 | 35歳 40歳 45歳 50歳 55歳 60歳 65歳の被保険者 | 各自で医療機関を受診 | 70,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
インフルエンザ予防接種 | 集団、個人 | 全加入者 | 集団接種、各自で医療機関を受診 | 集団は全額費用補助、個別は3,000円を上限に費用補助 | 1回/年 | |
禁煙外来 | 個人 | 被保険者 | オンライン診療 | 禁煙達成の場合:全額費用補助 途中リタイアの場合:その段階での相当額を自己負担 |
1回/年 |
■ 健康経営の取組に対する評価
「健康経営銘柄2025」
「健康経営優良法人2025(大規模法人部門) ホワイト500」
「健康経営銘柄」の制度は、経済産業省と東京証券取引所が上場会社の中から「健康経営®」に優れた企業を選定し、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による取り組みを促進することを目指すものです。当社は2023年に初めて選定され、3年連続の選出となりました。また「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)ホワイト500」は、保険者と連携して優良な健康経営®を実践している法人を経済産業省と日本健康会議が共同で顕彰するもので、4年連続の認定となりました。