地球温暖化防止への取り組み

トクヤマの取り組み

気候変動問題が顕在化する中、石炭火力による自家発電所を稼働させてきたトクヤマにとって、CO2排出量の削減は喫緊の課題です。2021年2月に公表した「中期経営計画2025」において、当社は重点課題の1つとして「地球温暖化防止への貢献」を掲げました。ここでは「2030年度GHG排出量30%削減(2019年度比)」という目標を立て、さらに「2050年度カーボンニュートラル達成」を目指すことを宣言しました。持続可能な企業活動の継続とGHG排出量削減の両立を図るため、化石燃料からバイオマスなどへの燃料転換を行うことで再生可能エネルギー比率を2030年度に30%まで高めることを計画しています。
更にその先には、原料起源GHG排出量の削減や、CCU技術等の環境貢献製品の開発につとめ、2050年度のカーボンニュートラル達成を目指します。

トクヤマは2021年2月にTCFD提言への賛同を表明し、2022年3月には「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」という提言で開示を求められている項目を踏まえて、当社グループの気候変動に対する取り組みを開示しました。

GHG排出量削減目標の達成に向けた取り組み

トクヤマにおけるCO2削減目標達成への戦略立案は、カーボンニュートラル戦略本部が担っています。各事業部門、および徳山製造所と連携し、エネルギーベストミックスなどの具体的な計画を策定・推進します。
CO2削減計画達成への基本方針は、徳山製造所の自家発電所の燃料を石炭から非化石燃料に転換することです。非化石燃料として、主にPKS(パーム椰子殻)などの農業廃棄物系バイオマスを使用しますが、海外から調達するPKSは、トレーサビリティや環境への配慮、合法性の担保が不可欠だと考え、2022年2月にGGL認証*などの第三者認証を取得しました。2022年度中に充分な量のPKSを確保し、2023年度以降、4基ある発電所のうち1基をバイオマス専焼で発電することを決定しています。残る3基についても、アンモニア燃焼技術の進展状況などを鑑みながら、対応を適宜判断していく考えです。

*Green Gold Label認証。2002年に発足した、最も長い歴史を持つ認証。バイオマスに特化し、持続可能なバイオエネルギーの製造、加工、輸送、最終利用までを網羅し、独自の追跡・記録を担保する。RSB認証と同様に、資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインで認められた第三者認証

また、バイオマスを半炭化し石炭と同様の取り扱いができることを目指した「ブラックペレット」の製造技術の確立を進めています。最終的にはバイオマスをブラックペレットに置き換えることで、ボイラー効率の向上や設備改造・輸送・保管コストの抑制効果などのメリットが得られると考えています。新事業の立ち上げ促進のため、事業部門や研究開発本部から独立した「ニュービジネスセンター」を2022年4月に設けましたが、この中に「バイオマス事業化グループ」を新設し、バイオマス燃料の開発に取り組んでいます。
一方、「水素・アンモニア」もCO2削減の選択肢の一つとなります。アンモニアは水素よりも輸送や貯留が容易であり、近年は低コストの水素キャリアとしても注目されています。現在、周南コンビナートの企業と化学工学会、および周南市で構成され、オブザーバーとして経済産業省、国土交通省、環境省、山口県、山口大学が参加する「周南コンビナート脱炭素推進協議会」の中で、燃料アンモニアの議論を重ねています。2022年8月には、周南コンビナートの企業4社で、アンモニアサプライチェーンの構築に向け必要な共用インフラ整備の検討を共同で開始しました。

TCFD提言に基づく情報開示/トクヤマTCFDレポート

当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言について、2021年2月25日の取締役会の決議に基づいて賛同を表明し、TCFDが推奨する「ガバナンス」、「戦略」、「リスクマネジメント」、「指標と目標」を踏まえ、気候変動に対する取り組みを推進しています。取り組み状況は、以下の画像をクリックし、ダウンロードしてご覧ください。

  • 目 次
  • ガバナンス
  • a 取締役会の監督
  • b 経営陣の役割
  • 戦略
  • a 短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会、及び c 組織戦略のレジリエンス
  • b 事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
  • リスクマネジメント
  • a リスクの特定と評価プロセス
  • b リスクマネジメントのプロセス
  • c 全社リスクへの統合 【重要リスクの特定プロセス】
  • 指標と目標
  • a 気候関連の指標
  • b Scope1、Scope2、Scope3のGHG排出量
  • c 目標及びその目標に対するパフォーマンス
TCFDレポート 第三者検証報告書
2022年度
2021年度

サプライチェーン排出量の算定と管理

トクヤマは、GHGプロトコルによるScope3基準* に基づき、サプライチェーン全体の排出量であるScope3のカテゴリー1から7および9について排出量を算定しました。算定したカテゴリーでの排出量は178万トンで、2020年度より4万トン増加しました。これは、カテゴリー1(購入した製品・サービス)由来の排出量が3万トン増加したことが主に影響しています。
*GHGプロトコルは世界資源研究所(WRI)と持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が共催する組織で、Scope3基準は同プロトコルが2011年11月に発行した、サプライチェーン全体のGHG排出量の算定基準